高齢の家族が自宅で安心に過ごせるようにリフォームしたい。
そう考える方も多いと思います。
特に長崎県の高齢化率は全国平均を上回るペースで上昇しているため、介護リフォームへの関心が他の都道府県よりも高い傾向にあります。
介護は住環境の整備の他にもさまざまなお金が必要となります。
そのため介護リフォームに関して不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ここでは、介護リフォームの内容と長崎県にお住まいの方が検討可能な補助金について解説します。
介護リフォームと関連する補助金について知ることで少しでも安心して介護リフォームの検討していただけるお手伝いになりますように。
株式会社サクセス代表
岳下斉弘
設計士
長崎市を中心にコストパフォーマンスとデザインの両方を重視するお客様に最適な建築デザインを提供しています。手頃な価格で質の高いデザインを実現し、お客様の夢を形にすることに専念しています。
少子高齢化が社会問題となっている昨今、全国的に高齢化が進み自宅介護の必要性が高まっています。
長崎県は全国的にみても高齢化のペースが早い地域です。
全国平均を上回るペースでの高齢化の上昇は2040年には39.6%に達するとも試算されています。
そのため、介護が必要な家族も増えている傾向があります。
介護リフォームとは
介護リフォームとは、高齢者や介護が必要な方が安全に快適に生活できるよう、住まいを改修することを指します。
介護リフォームには主に2つの目的があります。
・介護される方が暮らしやすくなる
・介護する方の負担を軽減する
介護される方が自分の力で動けるように住環境を整えることで、自立した生活が送れるようにサポートします。
また、介護度が上がることで介護する方の負担も大きくなります。
介護をする方が体を痛めてしまったということも少なくありません。
自活をサポートし、介護の際の負担を少しでも軽減することが介護リフォームの目的の一つといえます。
介護リフォームのメリット
介護リフォームは前述の通り、介護される側と介護する側の負担を軽減するために行われることが多いです。
介護される側のメリット
介護リフォームの一つの大きな利点は、移動のサポートが可能になることです。
手すりの設置により、要介護者が自力で移動したり、トイレや入浴を行うサポートとなります。
また、玄関の段差をなくすことで、転倒の危険性が軽減されます。
さらに、車いすでの出入りの負担を減らすことができます。
滑りにくい床材を使用することで、安心して移動でき、引き戸の導入により、少ない力で開閉が可能になり、自力で出入りができます。
また、生活の質も向上します。
居室の近くにトイレを設置することで、介護される方が自分でトイレに行きやすい環境作りを行うことが可能となります0。
これらのリフォームにより、高齢者が安心して自立した生活を送るサポートのきっかけとなるのです。
介護する側のメリット
介護リフォームは介護する側にも多くの負担を減らす一助となってくれます。
スロープの設置により、車いすでの出入りが楽になり、浴室やトイレに手すりを設置することで、介助の負担軽減が期待されます。
さらに玄関の防犯性を高めることは不審者のチェックだけでなく、万が一徘徊してしまうような状況になった場合に、心身の負担軽減の手助けとなってくれるでしょう。
また、段差を解消することで、車いすを押す場合も乗り降りの場合も、特に足腰の負担が軽減されるでしょう。
自立した方も転倒の心配が軽減されるため安心感も増します。
介護リフォームの適切な計画と導入は、介護される側も介護する側も、安心して快適に生活できる環境を整える一歩となるでしょう。
メリット | 介護される側 | 介護する側 |
---|---|---|
移動のサポート | 手すりの設置で自力移動が可能 玄関の段差解消で転倒防止、車いすでの出入りが可能 | スロープ設置で車いすの出入りの負担軽減 手すり設置で介助の負担軽減 |
安全性の向上 | 滑りにくい床材で安心して移動 引き戸で少ない力で開閉が可能 | 玄関の防犯向上で徘徊の抑止力となり心身の負担軽減 段差解消で車いす移動の負担軽減 |
生活の質の向上 | ウォシュレットで清潔保持 居室近くのトイレで認知症対策 | 浴用リフトで入浴介助の負担軽減 居室内の手洗いで排泄介助の負担軽減 |
介護リフォームは介護される側・介護する側お互いに快適に生活できるように話し合いながら進めることも大切です。
介護リフォームを検討するタイミング
介護リフォームは、家の段差が辛く感じたり、不便に思った時に計画を考えることがおすすめです。
介護はいつ始めるのかあらかじめわかっているということはありません。
そのため、本格的な介護が必要になる前に検討すると安心です。
特に要介護認定を受けた際には介護リフォームを検討しましょう。
要支援・要介護認定を受けるということは、自宅での事故の危険性が高くなることを想定してください。
要支援・要介護認定をされると介護リフォーム補助金対象となることもあります。
ケアマネージャーに相談してみてください。
介護リフォームは住環境を介護の負担を軽減し、家の中で安心して自活できるように手助けをするために行うことが多いリフォームです。
浴室・トレイの改修
浴室とトイレの改修は、介護リフォームの中でも特に重要な部分です。
手すりを設置することで、要介護者が安全に移動しやすくなります。
滑りにくい床材を使用することで、転倒の危険を減らし、安心して使用できる環境を整えます。
また、ウォシュレット付きトイレの導入により、入浴が難しい時でも清潔を保つことができます。
安心安全に室内移動をするための改修
室内移動を安全にするための改修には、段差の解消や引き戸の設置が含まれます。
段差をなくすことで、車いすや歩行器を使用する高齢者がスムーズに移動できるようになります。
また、引き戸を導入することで、少ない力で開閉が可能になり、自力で出入りができるようになります。
これにより、転倒のリスクを大幅に減らし、安心して移動できる環境が整います。
床の改修
床の改修は、滑りにくい床材を使用することで、転倒の危険を減らし、安心して移動できるようにすることが目的です。
特に浴室やキッチンなど、水に濡れやすい場所には、滑りにくい素材の床材を使用することで、転倒事故を防ぐことができます。
また、床の高さを均一にすることで、車いすや歩行器の使用がスムーズになり、高齢者の移動が楽になります。
住宅設備の調整
住宅設備の調整には、キッチンの高さの調整や照明の改善が含まれます
キッチンの高さを調整することで、高齢者が自立して家事を行いやすくなります。
照明を改善することで、視覚的な負担を軽減し、安全に作業ができる環境を整えます。
また、居室の近くにトイレを設置することで、動線を短くすることでトイレに行きやすくなります。
これらの改修により、高齢者の生活の質が向上し、自立した生活を支援します。
介護リフォームを行う際に費用面が気になる方も多いのではないでしょうか?
介護に必要なリフォーム工事はしっかりと行いながらも、できるだけ費用を抑えたいというご相談も多いです。
ここでは介護リフォームに適応できる助成金について説明します。
介護保険制度によるリフォーム
介護保険制度は2000年4月に導入された、40歳以上の人が加入義務を持つ保険制度です。
介護保険制度は各自治体が運営を行っています。
介護保険の介護サービスの一つが「住宅改修費用の支給」です。
住宅改修費の支給条件
介護保険制度による住宅改修費には支給条件が設けられています。
基本的に償還払い方式で、利用者が全額支払い後に市区町村から7~9割が支給されます。
事前申請で受領委任払い方式も可能な場合もあります。
- 要介護認定または要支援認定を受けていること
- 改修する住宅が保険証の住所と同じで、実際に居住していること
- 入院中や福祉施設に入居していないこと
- 改修費は20万円まで適用、自己負担は1~3割
対応できる工事内容
介護保険が適用される工事内容は下記のとおり定められています。
介護認定の段階によって異なる場合もあるので、介護保険の住宅改修費を検討されている方はケアマネージャーさんや自治体に確認することをおすすめします。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑り止め床材の取り替え
- 扉の取り替え
- 便器の取り替え
- 上記工事に伴う必要な工事
また、申請と手続きの流れは概ね以下のとおりです。
- 要介護または要支援の認定を受ける
- ケアマネジャーに相談
- 施工業者とケアマネジャーが同席して打ち合わせ
- 見積もり、工事図面を確認し契約
- 事前申請書類を提出し、審査結果を確認
- 着工し、業者への支払い(利用者が支払う)
- リフォーム完成後に再申請し、住宅改修費の支給を受ける
必要書類には、住宅改修内容を記載した書類、改修前後の写真、ケアマネジャーが作成する住宅改修理由書、施工業者の見積書と工事図面、領収書などが含まれます。
また、申請は着工前後2回必要となり、住宅改修理由書は資格保有者が作成する必要があります。
領収書の写しを提出する際には原本の提示が求めらる点にも注意が必要です。
バリアフリー工事による減税制度
バリアフリー工事を行うと、所得税の還付を受けることができます。
この制度は平成21年度から導入されました。
所得税の減税
バリアフリー工事を行うと、住宅ローンを利用している場合、確定申告をすることで所得税の控除を受けることができます。工事費用の年末ローン残高の2%または1%が5年間控除され、最大62万5000円の減税を受けられます。
固定資産税の減税
バリアフリー工事を行った場合、市町村に申告することで翌年度の家屋にかかる固定資産税が3分の1減額されます。
適用条件
- 築年数や住宅ローンによる要件: 築年数や住宅ローンの種類により異なる条件があります。
- 申請期限: 工事完了から3カ月以内に申請が必要です。
対象となるリフォーム
- 通路や出入り口の拡張: 車いすでの通行を容易にする工事。
- 浴室の床面積の増加: 介助スペースを確保する工事。
- トイレの洋式化: 和式便器を洋式便器に取り換える工事。
- 滑り止め床材の変更: 滑りやすい床材を滑りにくい素材に変更する工事。
- 段差の解消: 敷居や玄関、浴室などの段差をなくす工事。
この制度を活用することで、バリアフリー工事の費用負担を軽減し、安全で快適な住環境を整えることができます。
工事前に条件を確認し、申請期限を守って手続きを進めましょう。
長崎県の介護補助金
介護保険の「住宅改修費」(長崎市)
前述の介護保険補助金の適用が可能です。
要介護や要支援認定を受けた長崎市民の方が、自宅で自立した生活を送るために住宅をバリアフリー化する場合、20万円を限度に最大で費用の9割が補助されます。
対象となる工事については、ケアマネジャーか市に相談することが重要です。
また、受領委任払いを選ぶ場合は、長崎市に登録された業者から選ぶ必要があることに注意してください。
障害者支援「日常生活用具の給付・住宅改修費」(長崎市)
長崎市内の自宅に住む下肢や体幹機能に3級以上の障害を持つ方が、自宅での生活動作を補助する住宅改修を行う場合、20万円を上限に費用の9割が助成されます。
所得に応じた月額負担上限額が設定され、一定以上の所得があると助成対象外になることもあります。
補助金制度 | 対象 | 補助内容 | 条件 |
---|---|---|---|
介護保険の「住宅改修費」 | 要介護や要支援認定を受けた市民 | 費用の9~7割(上限額20万円) | 期間の定めなし |
障害者支援「日常生活用具の給付・住宅改修費」 | 下肢や体幹機能に3級以上の障害を持つ市民 | 費用の9割(上限額20万円) | 所得による制限あり、期間の定めなし |
介護リフォームは介護する側とされる側の負担を減らすだけでなく、お互いの生活や自尊心を保つためにも大切なリフォームです。
双方にとって快適なリフォームにしましょう
介護リフォームを行う際は、介護される方だけでなく介助者の快適さも考慮しましょう。
ストレスのない介護生活を実現するために、リフォームによって介護される方が自力でできる行動が増えるような設計にすることが重要です。
これにより、介助者の負担が軽減され、双方が快適に過ごせる環境を作り出せます。
たとえば、広い通路や段差のない床、適切な手すりの配置などが挙げられます。
状況にあった内容にしましょう
介護リフォームは、介護される方の具体的な症状やニーズに合わせて行うことが重要です。個
々の状況に応じた改修を行うことで、無駄なリフォームを避け、効率的な改修が可能になります。
たとえば、歩行が難しい場合は手すりの設置が有効ですが、視力が低下している場合は照明の強化が必要です。
介護される方の困難を理解し、その解決に向けたリフォームを行いましょう。
本人の「できる喜び」を尊重しましょう
介護リフォームでは、介護される方が自立して行動できるようサポートすることが大切です。
自立心を促すために、リフォームによって「介護せずともできる」環境を作ることが重要です。
たとえば、トイレや浴室に向かう動線に手すりを設置したり、段差を解消することで、自力での移動が可能になります。
これにより、介護される方が自分でできる喜びを感じ、自立心を維持することができます。
補助金をうまく活用しましょう
介護リフォームの費用負担を軽減するために、自治体の補助金や助成金制度を活用しましょう。
補助金を利用することで、予算に余裕を持ってリフォームが行えます。
たとえば、手すりの設置や段差の解消などに対して、補助金が支給されることがあります。
補助金を受けるためには、適用条件を満たし、所定の手続きを行う必要があります。
事前に自治体の相談窓口で条件や申請方法を確認しましょう。
専門家を頼りましょう
介護リフォームを計画する際は、ケアマネージャーや介護士、リハビリ専門職の意見を取り入れましょう。
これにより、適切なリフォームプランを構築できます。また、リフォームを実施する業者選びも重要です。
技術力があり、福祉関係の資格を持つ業者に依頼することで、安心して工事を任せられます。
複数の業者から見積もりを取り、比較することも大切です。
これにより、適切なリフォームプランとコストが把握できます。
介護される方の状況に合わせた適切な工事が必要となるのが介護リフォーム工事です。
そのため、介護リフォーム信頼できるリフォーム業者に相談しながら計画し進めることをおすすめします。
地元業者の利点
地元業者を選ぶと多くの利点があります。
地域の特性に詳しいため、地元の実情に合わせた提案が可能です。
また、自治体の補助金制度に詳しい場合も多く、適切なアドバイスを提供してくれることが期待できます。
地元の口コミや実績が多いため、信頼性の高い業者を選びやすいのもメリットです。
迅速な対応や緊急時のサポートも期待できます。
特に介護保険の助成金を利用する場合は、地元の登録業者が行う必要がある場合等もあります。
しっかりと確認しましょう。
また、地元の業者であれば工事後のメンテナンスやサポートの他にも、地元のケア施設との連携もスムーズにとってくれる可能性が高いです。
適切な業者の見分け方
適切な業者を見分けるためには、以下のポイントを確認しましょう。
まず、業者の実績と経験を調べ、過去の施工事例や顧客の口コミを確認します。
複数の業者から見積もりを取り、費用や提案内容、施工方法を比較しましょう。
また、業者の対応や説明が丁寧かどうかも重要な判断材料です。
介護リフォームは安心を確保する目的で行う一面もあります。
そのためしっかりとした技術と確実な工事を行ってくれる業者を選ぶことも大切です。
ケアマネージャーとの連携
介護リフォームを成功させるためには、ケアマネージャーとの連携が欠かせません。
ケアマネージャーは要介護者の状態を把握しており、適切なリフォームのアドバイスを提供してくれます。
リフォーム計画を立てる際には、ケアマネージャーや介護スタッフと相談し、要介護者に最適なプランを作成しましょう。
ケアマネージャーのネットワークを活用して、信頼できるリフォーム業者を紹介してもらうことも効果的です。
リフォームがスムーズに進み、介護される方と介護者の双方が快適に過ごせる環境を整えることができます。
いかがでしたか?
介護リフォームは介護の負担を軽減し、自活を助けるための大切なリフォーム工事です。
介護される側の状態や体格によっても必要なリフォームや、リフォームの内容・詳細が変わってきます。
元気なうちに自分たちの老後を見据えたバリアフリー工事を検討される方もいらっしゃいます。
また要介護認定を受けた後に自宅で介護をしやすいように行うケースもあります。
家族にあったリフォームプランを立て、より自分で動けるための住環境整備を進めましょう。
この記事が玄関リフォームを楽しく計画するためのお手伝いになりますように!
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